少女漫画にはまる男

最近は充実してるけど、精神的体力的にけっこうかつかつなんですよ。
で、そんなおじさんの心のオアシスが少女漫画なんです。

学校近くの市立図書館に、テレビで『少女漫画の古典』みたいな感じで紹介されてた『風と木の詩』があったので、読んでみたらめちゃ面白くて、ひとつ、一気読みしてしまった。
いやー、『こいつら100%伝説』のみを認めていたおじさん的にはけっこう衝撃だったよ。
すごいね、少女漫画って。
「女の子ってちっちゃい時からあんなの読んでるの…」とか思って、なんか勝てない気がした。
んでから、作家のちからが半端無い。
きっと完璧なプロットがある。
「不必要。なんやコラ」って思ってた部分がものすごく重要だったり、アホなオッサンとしては、よくこんなテーマを扱いながらもこんだけしっかり描けるよなあとか思った。

扱うテーマとしてはドイツ古典文学とかによく見られるもので、ヘッセヲタとしてはやっぱりどうしても『車輪の下』のイメージが強いな。
ただ、その表現が少女漫画ならではというか。
性的表現みたいなのもあるんだけど、なんつーか、透明。
性愛のどろどろの部分を見たくない少女性っていうか、そういうのが表れてんのかなあとか思ったりもした。
ま、キャラが基本的に中性なんだけどね。



ダラダラかいてもなんなので、おじさんはものすごい感動して感銘を受けましたよ、と書くよ。
最初主人公が好きじゃなかったんだけど(非のうちどころがない)、「不必要」って思った長い過去の描写読むうちに、なんかもうね、大好きになっちゃうの。(おすぎorピーコっぽく)
んで、準主人公がもうどうしようもなく人間っぽくて、せつないよ。
主人公の父・アスランはなんつーか、かっこいい。
「あんな生き方したいね」って思える。
あまりにも現実的でないからこそそう思うんだろうし、「あまりにも現実的な世界で、あまりにも現実的でないものを描くこと」=「少女漫画」なんじゃないかと思った。
とすると、少年漫画は「あまりにも現実的でない世界で、あまりにも現実的でないものを描くこと」なのかな。



ということで、少女漫画が刮目に値することを二十三年目に知ったおじさんは、ネットで名作って言われてるやつを調べてる最中だったりするんです。
次は『トーマの心臓』に決めた。


風と木の詩 (1)
風と木の詩 (1)
竹宮 惠子

中央公論新社 2002/07
¥ 720


トーマの心臓
トーマの心臓
萩尾 望都

小学館 1995/08
¥ 710